「hololive SUPER EXPO 2025」と並行する形で開催され、今年で6度目を迎えた年に一度のホロライブの音楽の祭典「hololive 6th fes. Color Rise Harmony」。今年は会場の幕張メッセに観客席を挟むようにメインステージが2つ用意され、観客席のど真ん中に360°回転する中央ステージを設置。会場のどこからでも楽しめるような試みを推し進めている。2日間で計4ステージ行われた公演の中から、ここでは3月9日の「DAY2」に開催された「CREATOR’S STAGE」と「hololive STAGE3」の様子をレポートしたい。
CREATOR’S STAGE
13:00から行われた「CREATOR’S STAGE」の最大の魅力は、ホロライブからリリースされた歴代の楽曲を通して、バリエーション豊かなホロライブ樂曲の魅力や、それらを手掛けるクリエイターの広がりを感じられること。他のステージとの違いとして、楽曲開始時に曲名と担当クリエイター陣の名前が紹介され、楽曲の制作陣にも焦点が当てられている。
ライブは2023年の4th fes.のテーマソング「Our Bright Parade」でスタート。堀江晶太が手掛けたこの曲は、“誰でもどこからでも参加できる終わらないパレード”をイメージした、『The Black Parade』期のマイ・ケミカル・ロマンスなどに通じるバンドスタイルの壮大なポップソング。観客を両サイドから囲むように2つのステージに分かれたメンバーが登場し、観客が推しカラーのペンライトを振って祝祭感いっぱいにライブがはじまった。
以降は豪華クリエイターが手掛けたメンバーのソロ曲を次々に披露。今年の全体曲「Color Rise Harmony」も担当したナナホシ管弦楽団が提供した兎田ぺこらの「いいわけバニー」では忙しないポップサウンドに乗って不知火フレア、クレイジー・オリーが息ぴったりの歌&シンクロダンスで魅せた後、2番で兎田ぺこら本人が登場して会場は大歓声。そのまま同じくナナホシ管弦楽団が手掛けた宝鐘マリンの「美少女無罪♡パイレーツ」がはじまると、ここでは宝鐘マリン、博衣こよりの2人に途中からベスティア・ゼータ、古石ビジューが合流して4人で「出航!」と声を合わせ、この日だけの特別な風景が生まれる。
かめりあが担当し、ハコス・ベールズ自身も歌詞を共作した彼女の「Play Dice!」では、「5 4 3 2 1 PLAY DICE!」の掛け声を観客も大合唱。ハードコア、ベースミュージック、ジャズなど雑多な要素を詰め込んだ混沌の権化のような楽曲とキレッキレのダンスで会場に熱気が充満。続いてツミキが手掛けた星街すいせいの「ビビデバ」では、ときのそら、ロボ子さん、AZKi、さくらみこがステージに登場し、スクリーンに映し出された星街すいせいの映像にあわせたパフォーマンスを披露。と思いきやサビで星街すいせい自身も登場して0期生が集結し、生バンドならではの人力ファンク〜ディスコに乗ってお馴染みのダンスも披露して大歓声に包まれた。
続く鷹嶺ルイは、観客席のど真ん中に位置する中央ステージで、すりぃが手掛けた中毒性溢れるポップ曲「ホロホーク」を披露。Giga&TeddyLoidが楽曲を担当した森カリオペによる「Go-Getters」は、彼女とネリッサ・レイヴンクロフトの2人でスタイリッシュにパフォーマンス。U.Z. INUやかめりあが手掛けた「I’m Your Treasure Box *あなたは マリンせんちょうを たからばこからみつけた。」は楽曲のグルーヴを際立たせる生バンド演奏に乗ってマリンがソロで歌い、観客からもイントロが鳴った瞬間に割れんばかりの大歓声が巻き起こる。
以降もホロライブ楽曲の音楽性の幅広さが伝わる楽曲が次々に登場。まろん (IOSYS)が手掛けた桃鈴ねねの「ねねちのギラギラファンミーティング」では、ライブ人気も高い中毒性溢れる楽曲をねね、フワワ・アビスガード&モココ・アビスガードの3人で披露。白銀ノエルの「ぎゅーどんかーにばる!」では彼女と推しを公言する大空スバルとのコラボが実現し、間奏のハードコア系EDMパートなどでも大盛り上がり。一転、ピノキオピーが手掛けた猫又おかゆの「もぐもぐYUMMY!」では、脱力系ポップ曲をソロで歌い上げる。
小鳥遊キアラの楽曲「SPARKS」はIRySと2人で披露。スラっとしたスタイルの良さが活きるダンスと歌を披露すると、観客も「おい!おい!」とコールで応える。続くマリン、こぼ・かなえるによるJP/IDメンバーがタッグを組んだ人気曲「I I I」は、赤青のコントラストが印象的な照明を受けながら2人で堂々のパフォーマンス。ムーナ・ホシノヴァの「High Tide」はID1期生の仲間・アイラニ・イオフィフティーンと2人で歌い上げた。ここでもう一度中央のステージに照明が当たると、常闇トワによる「Palette」がスタート。この楽曲はもともと彼女が歌ってみたでカバーし、ライブでもパフォーマンスすることで人気を博していた「-ERROR 」の作者・nikiに依頼して生まれたオリジナル曲。つまり、日々の活動からクリエイターとのシナジーが生まれて実現した楽曲となる。
「CREATOR’S STAGE」は後半も多彩なパフォーマンスが続々登場。堀江晶太が手掛けた大神ミオの「夜光通信」は、百鬼あやめとのコンビで披露。2人で向き合って歌うなど、この日ならではの演出も印象的だった。続く角巻わためは、その堀江晶太に田淵智也を加えたアニソン界の名タッグによる楽曲「My song」を披露。感情をたっぷり乗せた歌に加え、生バンドのキメに合わせて拳を何度も掲げて歓声が巻き起こった。続いてさくらみこは、じんが手掛けた「DAI DAI DAI ファンタジスタ」を披露。PONを連想するねじの外れた音も加えつつ、軽快で明るい雰囲気のディスコファンクチューンをらしさ全開にパフォーマンス。ソロのラストに星街すいせいが登場し、ナナホシ管弦楽団が手掛けた「ソワレ」がはじまるとイントロから観客が声を上げ、会場がさらに熱を増していく。
最後は同じくナナホシ管弦楽団が手掛けた新たな全体曲「Color Rise Harmony」をCREATORS’ STAGEのメンバー全員で披露。この日の1曲目「Our Bright Parade」とは2つのステージに登場するメンバーを逆にしつつパフォーマンスすると、ステージを覆う虹色の映像演出と連動するように観客席も推しの色のペンライトが集まった虹色の風景が広がっていく。ホロライブ楽曲の多彩さや、それを支えるクリエイターの魅力が詰まったステージとなった。
hololive STAGE3
18:30から行われた「hololive STAGE3」は、昨年の全体曲「Capture the Moment」でスタート。ホロライブ初の全体曲「Shiny Smily Story」(SSS)の作者でもある金丸佳史&中野領太が楽曲を担当し、「SSS」の要素を随所にちりばめた楽曲で会場は早速大歓声に包まれる。この曲では照明が白を基調にした非常にシンプルなものになっており、観客ひとりひとりのカラフルなペンライトが際立つような演出になっていたのも印象深かった。
以降はメンバーのソロやユニットでのパフォーマンスが続々登場。まずは雪花ラミィが『第2回ホロライブ体力王決定戦』にあわせて発表したEDMポップ「ラミィズバリバリワークアウト」で観客を盛り上げ、ドロップ部分では“芝刈りパンプアップ”を観客にも促して早速大きな熱気に包まれる。続く大空スバルは直前の自身の6周年ライブでお披露目した「星駆ける空へ」を披露。自身の楽曲「スターライト」とのつながりも振付などに加えながら、新しい場所に歩き出していく気持ちを歌ったエモーショナルな楽曲を歌い上げた。大神ミオは「自分の色を見つける」ことがテーマの楽曲「Colorful Universe」を披露。洒脱でリズミカルな生バンドの演奏に乗って持ち前の高い歌唱力で魅了した。
続いて登場したのは白上フブキ、大神ミオ、百鬼あやめによるユニット・いろはにほへっとあやふぶみ。彼女たちは「おにけもだんす」と「百花繚乱花吹雪」をメドレーで披露。息ぴったりのシンクロダンスも加えて和風テイストの楽曲を歌いこなし、「おにけもだんす」の「言いたいことがあるんだ余!」からはじまる3人の要素を詰め込んだ口上などでも観客は大盛り上がり。「百花繚乱花吹雪」ではスモークが会場を覆った。
ID組のベスティア・ゼータはオリジナルソング「Break It Down」を熱唱。日本語詞でラップも加えた洒脱なR&Bポップスをキュートな歌声とダンスで魅せた。続くアイラニ・イオフィフティーンは「旦那様とのラブラブ・ラブソング」をカバー。「あなた(あなた)あなた(あなた)だけよ」など観客との掛け合いも楽しい楽曲でさらに会場を盛り上げていく。
続いて登場した百鬼あやめは自身の楽曲「宵の余、良い!」「かわ世」「夢花火」の3曲をメドレー。レーザーを効果的に使った演出も加えながら、和風+モダンな楽曲の数々と持ち前の愛嬌を活かしたパフォーマンスで魅了する。一方、アイラニ・イオフィフティーン、アーニャ・メルフィッサ、ゼータのID組は超ときめき宣伝部の「すきっ!〜超ver〜」をカバー。 セリフパートなどもそれぞれ分担しながら息の合ったダンス&歌を披露した。
以降もメンバーそれぞれのオリジナル曲が続き、アキ・ローゼンタールによる「キミにまつわる運命事情」は間奏に得意のダンスも加えながらポップにパフォーマンス。アーニャは新しいオリジナル曲「CHRONIC」をフェス会場で初お披露目し、エレクトロニックミュージックとR&Bが混ざり合ったお洒落な楽曲と歌&ダンスで魅了する。癒月ちょこは親交のあるVTuber・周防パトラが手掛けた楽曲「ちょこせんせーしょん」を披露。会場を一面ピンク色に染めた。
ライブ中盤に盛り上がったのはときのそら、さくらみこ、大空スバルがそれぞれの楽曲をともに歌ったコラボメドレー。大空スバルの「ホットダック!」、ときのそらの「スタースタースタート」、さくらみこの「きゅんきゅんみこきゅんきゅん♡」というダンサブルなポップ曲を連発し、観客のコールも受けながら3人らしい賑やかなステージを披露した。
オーロ・クロニーは大空スバルの公式イラストレーターとしてもお馴染みのしぐれういの人気曲「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」をカバー。持ち前の深く特徴的な声を活かした、ロリというよりむしろお姉さん味を感じる歌や間奏のクロビームで会場は大盛り上がり。これまで全体ライブでは想像の斜め上をいく選曲のカバーを披露してきた戌神ころねは、今年はオリジナル曲「Mad POPCORN World! 」を披露。ミュージカルのようにぐんぐんテンポが変わるエレクトロスウィングを歌いこなしながら、何度も前転したりと得意のアクロバットでステージの端から端まで縦横無尽に駆け回って盛り上げた。
ここで一旦中央ステージに移り、猫又おかゆが直前の生誕祭ライブで初披露した新曲「キスだけでいいからね」を披露。この楽曲は彼女が主演・監修を務めるノベルゲーム『おかゆにゅ〜〜む!』のEDテーマ。洒脱なポップ曲をしっとりとした歌で聞かせた。
続いて一伊那尓栖、がうる・ぐら、オーロ・クロニー、七詩ムメイのEN組が登場すると、「アイディスマイル」をカバー。時計回りにポジション変えながらひとりずつセンターで歌い、サビで横並びに歌うなど、キュートな魅力が広がっていく。一方、ロボ子さんは「ANIMA」を感情いっぱいに熱唱。那尓栖は情感たっぷりの楽曲「愛して愛して愛して」のカバーを、彼女らしいキュートに歌い上げた。
ぐらは「だんご大家族」をカバー。ステージ上をゆっくり歩きながら、無音まで音楽にしてしまうような流石のパフォーマンスで観客を魅了した。ロボ子さん、アキ、ちょこの3人は「ビビデバ」の作者でもあるツミキが所属する音楽ユニット・NOMELON NOLEMONの「ハイド・アンド・シーク」をカバー。四つ打ちのダンサブルで洒脱なディスコファンクポップを大人の魅力たっぷりに歌い上げた。
獅白ぼたんは自身の楽曲「Hikari」を披露。真っ白な照明を受けながら、エレクトロニカやEDMの要素を加えたバラード曲をじっくりと歌唱。続いて七詩ムメイによるヨルシカ「準透明少年」のカバーがはじまると、彼女はイントロから手拍子をうながして観客がさらに盛り上がる。続いてぼたん、ラミィの“ししらみ”が八王子P × Gigaの「Gimme×Gimme」をカバー。お互い左右に分かれたり交錯して入れ替わったりとステージを広く使って会場を盛り上げた。
ライブはいよいよ終盤。中央ステージに登場したときのそらは7周年に向けて制作した楽曲「ラッキーセブンスホイッスル」を披露。一面青に染まった会場で、ホロライブの最初の顔役ならではのアイドルパフォーマンスで観客を魅了した。続くフブキが登場すると、イントロから観客の合唱が起こり、「まだまだ声も腕も張り上げられるよねー!」と伝えて観客のコールが印象的に組み込まれた楽曲「SUPERNOVA」を披露。ラストに向けてさらに会場を盛り上げる。
続いてはじまったのは、なんとおかころ(おかゆ、ころね)によるDA PUMP「if…」のカバー。この曲は以前2人がコラボ配信でも歌った楽曲で、その際の楽しそうな雰囲気やころねのラップが大きな話題となった曲でもある。そんな日々のわちゃわちゃを幕張の大観衆の前に連れ出すかのような、彼女たちらしいパフォーマンスで会場を湧かせた。ソロパフォーマンスのラストを務めたのは、直前のMCでときのそらに送り出されて中央のステージに向かったさくらみこ。彼女はかつて自信のなかったひとりの少女が仲間やリスナーと出会い夢を追いかけて走り出すという、彼女の歩みを表現した楽曲「flower rhapsody」を歌唱。エモーショナルな雰囲気でステージを終えた。
2日間を締めくくるラストは、ナナホシ管弦楽団が手掛けた今年のフェスのテーマ曲「Color Rise Harmony」。ここではふたたび観客を両サイドからSTAGE3のメンバーが登場し、観客を囲むようにして全員でパフォーマンス。観客のペンライトによるそれぞれの推しのカラーが集まって会場全体が虹色のカラフルな景色に変わり、メンバーも最後の力を出し切って巨大な高揚感が生まれていく。「La-la-la-la」というコーラスでは観客も自然発生的に大合唱。会場全体が声を合わせてハーモニーを生み出していく。
ホロライブの最大の魅力は、それぞれに異なる個性や魅力を持つメンバーと、リスナーを筆頭にした様々な人々とが手を取ることによってこそ生まれるもの。そんなことを改めて感じさせるようなパフォーマンスで2日間の幕を閉じた。エンドロール後には、ホロライブの音楽が楽しめる初の公式スマホゲーム「DREAMS」の開発も発表された。
VTuber文化の黎明期に誕生したホロライブというグループは、世界各地の様々な場所で暮らす人々と出会い、時を経て大きなうねりを生み出すようなグループのひとつとなった。けれども、その歩みは決して平坦なものではなく、これまでに様々な苦難乗り越えてきたことは、多くのリスナーなら知っていることだろう。そのすべてを抱えて、それでもまた先に進もう、もっと先の未来の可能性に向かって走っていこう―-。そんなグループの思いを感じさせるような、キラキラと輝く魅力が詰まったステージの数々で、熱狂の2日間は幕を閉じた。
取材・文 / 杉山仁
写真 / Takashi Konuma Mei Okabe
配信チケット・アーカイブ視聴
■販売期間
2025年4月9日(水)20:00まで
※各配信チケット2025年4月9日(水)20:00 まで購入可能です。
※2025年4月9日(水)23:59 まで何度でもご視聴いただけます。
※2025年4月9日(水)23:59を過ぎると、アーカイブ視聴中でも視聴できなくなります。
※お支払いの際、チケット代金の他に各種手数料がかかります。お申込み画面にてご確認ください。
【プレイガイド】
SPWN : https://spwn.jp/events/evt_25030801-jphololive6thfes
Streaming+ : https://eplus.jp/hololive6thfes-st
EXPO 2025 & 6th fes. 事後通販
■販売期間
2025年4月28日(月)18︙00まで
販売期間の期間や注意事項・詳細は、公式HPの販売ページなどをご確認ください。
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